研究テーマ

「地球温暖化」「沙漠化」「森林破壊」「酸性雨」・・・皆さんは最近、環境問題に関わるのような言葉を一度ならず耳にしたことがあるのではないでしょうか。

ヒトとなったその日から、私達は与えられた豊かな自然環境を享受しつつ、知恵と技術を駆使して文明を築き上げ、生活を物質的にも精神的にもより広がりのあるものとしてきました。しかしいくつかの文明が自然環境との付き合い方を誤った結果、地球上から姿を消していったことも忘れてはなりません。私達はもしや不幸な先人の轍を踏んでいるのではないでしょうか。私達はこれが杞憂であることを祈りますが、確証はありません。私達はそのための十分な情報をまだ持ち合わせていないのです。私達が今取り組んでいる研究は、地球環境の重要な要素である「土壌」に関わる諸現象を明らかにし、万物の霊長であるヒトがその責務を全うできるような生き方を求めようとしているのです。具体的にはつぎのような研究を行っています。

研究対象地域

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青:過去の試験地  赤:現在の試験地

熱帯や乾燥地の土壌資源はどうすれば持続的に利用できるのか?

将来の人口増加に対処するためには、これまで利用されていなかった土地を開拓するか、現在利用されている土地を酷使することを余儀なくされ、その結果、自然環境のバランスを壊す恐れがあります。私達は現在土壌侵食や塩類集積など様々な土壌荒廃が進行しつつある西アフリカや西南・東南・中央アジアで現地調査を行い、その機構を明らかにすることによって、土壌資源を保全しつつ増大する人口を支持できる農業技術を確立しようとしています。

  1. 中央アジア乾燥地潅漑農業における土壌生態系の劣化と修復に関する研究 (舟川)
  2. ユーラシア半乾燥ステップにおける土壌生態系の変容に関する研究 (舟川・角野・高田・牧野)
  3. アフリカ(ブルキナファソ、ニジェール、マリ)における在来農法の土壌管理技術と人為-環境対応の関係 (田中・宮嵜・小島)
  4. 熱帯農業の比較土壌生態学 (舟川)
  5. 中近東(シリア)の半乾燥地における土壌侵食危険度の面的評価(真常)

自然の土壌はどのようにして生成するのか?

ある場所になぜそのような土壌が生成してきたかを、その上に立つ植物、その下にある岩石、それのおかれた気候と地形、といった土壌を取り巻く環境から説明しようとしています。そのようにして生成した土壌は永久不変のものではなく、時間とともに変化しますので、土壌への過去のそれら環境の作用を知ることは、土壌の未来を予測することにもつながります。地球温暖化、酸性雨、肥料の過剰投入といった環境変化が土壌を、ひいては私達の周りの自然環境をどう変化させていくのかを予測しようとしています。

  1. 土壌の鉱物風化・酸性化過程の解析 (舟川・渡辺・藤井)
  2. 森林の堆積腐植層と土壌表層の形態とその機能に関する研究 (森)
  3. 土壌特性値の空間変動の評価とその応用に関する研究 (矢内)
  4. 土壌有機物・微生物動態におけるエフェメラル・ニッチの重要性 (舟川・杉原)
  5. 日本の異なる生態環境下にある森林土壌からの炭酸ガス放出量とその規定要因の解析 (真常)
  6. 集水域における土壌-地形モデルの開発 (真常)

土壌中の元素はどのようにして植物に利用されていくのか?

土壌は様々な元素を植物に供給していますが、その能力は土壌表面の性質や土壌中の生物の種類により影響を受けています。その元素には植物にとって有用かつ不可欠な元素である養分だけでなく、有害な作用をもつ重金属も含まれます。私達は、土壌の性質を植物との関わりの中で明らかにし、安全でより安定した作物生産を目指しています。

  1. 根圏土壌の養分動態に関する研究 (森塚・矢内)
  2. 日本の農耕地土壌における窒素存在形態の広域評価 (矢内・佐野)
  3. 重金属汚染土壌の修復に関する研究 (矢内)
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